ひなせたん 寝る前に考えた

空想・夢想・妄想が主な成分

裸の王様の物語。誰が一番悪いのか。賢いのは誰か。

こんばんは、ひなせです。

 

誰もが知っているようで知らない童話。「裸の王様」についてです。

この物語は何を伝えようとしているのでしょうか。教訓はなんでしょう。


子供の目は純粋で、時に真実を見抜く。

本当にそうでしょうか?

 

●裸の王様。あらすじ。

 

あるところに、新しい服が大好きな、おしゃれ大好きな王様がいました。

 

あるとき、仕立屋に化けた詐欺師が二人やってきました。なんでも、愚か者には見えない美しい生地で服を作れるという。

 

そんなものがあるのか。王様は早速、服の制作を依頼します。

 

制作中に王様の家来が何度か様子を見に来ますが、そこにあるはずの生地が見えません。

愚か者だと思われたくない家来は、自分の目で見た真実を、王様に告げることが出来ません。

大変美しい服が順調に仕上がりつつあるとの報告を、王様に伝えます。

 

やがて、出来上がったという服が王様の前に運ばれてきます。

王様にも、あるはずの服が見えません。

 

「愚か者には見えない」服なのですから、「見えない」などと言えるはずがありません。

「素晴らしい服だ」と、本当はありもしないものを褒める王様。

 

家来達も、今さら「見えない」などと言えるはずも無く、王様に賛同します。

新しい服が出来上がったのを記念して、王様はパレードを行います。

 

多くの見物人達も、「見えない」と言えず、周りに調子を合わせて、王様を褒め称えます。

 

その中で、一人の子供が、「王様は裸だ!」と声を上げます。

 

やがて、周りの見物人達も次々と「王様は裸だ」と言い出します。

すぐにパレードをやめることも出来ず、王様は歩き続けます。

 

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●登場人物・役割

 

・王様


前提は省略されていますが、「おしゃれなどに気を取られている愚か者」という役割です。
ファッション業界に従事する人が聞いたら怒り出しそうですね。


・・・・・いや、待って下さい。ちょっと視点を変えてみてみましょう。
もしこの王様が治める国の基幹産業が、織物や衣類だとしたら、まずは自分が試着してみようと思うのもおかしくない。


人類の歴史上でも、織物は大変重要な貿易品でした。


特に絹織物は、その美しい光沢が人々を魅了し、たいへんな高値で取引されました。どのように作られるのかが長い間秘密にされたほどです。
珍しいものには、まず飛びついてみる。そんな哲学なんでしょう。

 

問題は、出来上がった服を見たタイミングです。
制作中の段階から、部下に様子を見に行かせ、作業状況を報告させている。
経営者として大変優秀です。


しかしながら、部下から上がっていた状況報告は全て嘘。


考えても見て下さい、新商品が出来上がったというので見てみたら、なんと、見えないんです!
慌てるでしょう! 混乱もしますよ!


「マジ見えねえ。え、ワシって愚か者なの? 本当はみんなだまされてるんじゃねーの?」
いろんな事が脳裏をよぎるはずです。


そんな状況でも部下は「良い服です」「すばらしい」「素敵です」「最高です」と言い続ける。
「ひょっとして周りのみんなには見えてるの? 万が一ってこともある?」


部下の皆が「YES」と言っている状況で、どれだけの人が「NO」と言えるでしょうか。

 

この状況、周りの家来達が「裸の王様」を作り出している、と言えるのではないでしょうか。

 

やがて始まる王様のファッションショー。裸でパレードです。
最高権力者がモデルを買って出る潔さ。
頭に冠を乗せて、裸にマント姿。変態です。

 

さすがにこの格好なら騙されている事に気付いても良さそうですが、
今さら後には引けません。


王様のために用意されたランウェイがあるのですから。


・・・・・・え? 自分で用意したの?


先鋭的すぎるファッションショーのスタートです。

 

最初、民衆は王様を讃えます。自信を取り戻す王様。
やっぱり自分は間違っていなかった。そうだよ、自分の判断は正しかった!

 

そこへ水を差す一言が。
「王様、裸じゃん」
あたりは一瞬静まりかえります。

 

そして始まる裸コール。


「ハ・ダ・カ! ハ・ダ・カ!」


みんな、ここぞとばかりに王様に対して強い裸コールを浴びせます。
「そうだよ、俺もおかしいと思ってたんだよ」
皆、口々に、勝手なことを言います。

 

「ハ・ダ・カ! ハ・ダ・カ!」


王様はそうは言われても前に進むしかないので、歩き続けます。
むしろここまで来たなら胸を張って歩いて、こういうファッションだよ、と開き直った方が良いくらいです。

 

王様は愚かですが、「悪」では無いような気がします。


・詐欺師


超一流の詐欺師です。
彼らは「存在しない服」を、だまして売ったのではありません。
「愚か者には見えない生地がある」という情報を売ったのです。

 

その為に、ほとんどの者が「真実を語る」事が出来なくなった。
「愚か者と思われたくない」という心理を巧みに利用し、
その情報によって皆が口を封じられ、詐欺師の共犯者となった。

 

現代にも通じます。
皆が本当はおかしいと思っている事。
でも言ってしまうと、言った者が、
「愚か者」や「差別主義者」「思いやりの心が無い」といったレッテルを貼られてしまう。
本当に巧みです。人の心を見事に操っている。

 

詐欺師は大金を手に入れ、「パレード」が終わる頃には外国で優雅に暮らしています。
元手はゼロ。関係者全てをだます演技力と嘘。どこから来たのかも分からない。
彼らがその気になったら国を乗っ取ることも出来るかもしれません。

 

騙された者は後になって気付いてももう遅い。
始まった「パレード」は、終わらせることは難しいから。

 

詐欺師。
恐ろしいことに、彼らの策は「悪」と断言する行為そのものを難しくしています。
現代では、彼らこそが、「愚か者には見えない」存在です。

 

・家来


彼らはサラリーマンの代表です。
きっと、常日頃から「報連相が大事!」とか言われています。
「悪い報告ほど早く上に報告!」とか。

 

でもね、「自分にはあの生地は見えません」なんて報告が出来る人達がいる国なら、こんな事になってないでしょう。


なんですか、新しい服を手に入れたからパレードって。正気ですか。誰も止めないんですか。


そんな人が組織のトップなんですよ。
おそらく、この国の家来は、碌な人材は残っていません。

 

家来達も、うすうす感づいてはいるんです。
あー、王様騙されてるなー、って。

 

ここで彼らは「真実を王様に伝えなければ」、なんて思いません。
保身に走る連中です。

 

この場合、「誰が言うのか」という牽制合戦が始まります。
こんな王様ですから、真実を伝えた場合、「よくぞ言ってくれた」とはなりません。
「ワシを愚か者だと言うのか!」と逆ギレされるのがオチです。

 

ベストは王様自身が気付くことですが、牽制合戦を繰り返しているうちに、「あの生地はすばらしい」という嘘の報告が積み上がっています。
ますます引き返せない状況。

 

やがて、服が出来上がったとの報告が王様に届けられます。
家来達も内心、やべーよ、と思っているところ、王様も「いいね!」のリアクション。

 

まさか、乗っかるのかよ。
これならイケるかも?

 

もう舞台は整えられています。家来達の不安の中、始まるパレード。
見物人達は王様を見て、服が素晴らしいと讃えるではありませんか。
あれ、見物人達もこのノリに乗っかるの?


このままパレードが終われば全部アリになるんじゃねぇの。嘘が本当になる。
事なかれ主義も奇跡を起こせるんじゃね?

 

奇跡は起きませんでした。

 

よりによって、組織のトップが見物人達から徹底的に馬鹿にされる、という残酷すぎる結末です。


誰かが止めていればこうならずに済んだのに。
そんな感じで、彼らは責任から逃れる事しか考えていません。

 

家来達は、いわゆる「賢い生き方」をしている人達です。
ただ、どちらかと言えば、自分さえ良ければいいという「悪」に近いのではないでしょうか。


・見物人


モブです。
モブだからこそ、何にも属しません。

 

最初は王様を讃え、「王様は裸だ」の声の後は、王様を笑う。
主体性という形が無いからこそ、流れに身を任せることが出来る。

 

周りが言っているから、周りがやっているからという言い訳をして、
どんなに残酷なこと、愚かなことも出来てしまう。

 

善悪の判断も無く、自ら役割を持とうとはしない。
力を持つ者には調子を合わせ、
失敗した者を皆で笑う。


安全なところから「見るだけ」「言うだけ」の人達。
故に「見物人」なのです。

 

だがしかし。

 

もし仮に、子供だけが「王様は裸だ!」と言って終わってしまった場合。
この子供は無事でいられるでしょうか?

 

王から罰せられないでしょうか。
周りの人達から愚か者と馬鹿にされないでしょうか。

 

個人を特定されない位置にいるから、無責任だからこそ人を守る、という事もあるのです。

 


・子供


勘違いしている人がいますが、子供は賢い者の代表ではありません。
愚か者の代表です。

 

善悪の判断も出来ない愚かな子供だからこそ、「王様は裸だ」と言えたのです。
真実を見抜いたのでは無く、見たままを言っただけです。

 

見て下さいよ、パレードが続く中、悲しそうに歩く王様の姿を!
自業自得ではありますが、あまりに王様が不憫でなりません。
パレード中は言わない、という気遣いが出来なかったのか。
本当に子供は悪いヤツです。

 

仮にですが、あなたが勤める会社の社長が、「愚か者には見えない服」を着ている人だったとします。
誰がどう見ても裸なんですよ。社員も、取引先も、お客さんも、おかしいと言っている状態。
賢いあなたなら、「社長は裸だ」と言いますか?

 

社内で同僚に愚痴として言いますか? ありえません!
せいぜい家族や会社と関係の無い友人にグチる位が関の山です。
周りにたくさんの人の目がある中で、「社長は裸だ!」なんて言うヤツはクレイジーです。

 

仮に言ったとしたら、評価を下げられ、閑職に追いやられる位の覚悟が必要です。


言わないのが賢いんです!

 

そうしてみんな見物人や家来になっていくんです。
それが大人というものなんです。


・真実とは、最初の一人の行動。

 

タイトルは、「誰が一番悪いのか。賢いのは誰か。」という書き方をしましたが、
「王様は裸だ」という真実を話すためには、賢さも善の心も関係ないようです。

 

「王様は裸だ」と言う行動、それも最初の一人になることが大切。

 

むしろ、あれこれと考える人ほど、本当の事が言えない。


悪意のある詐欺師と、愚かな子供だけが周りに流されない。

むしろ周囲を動かしている。

 

こうしてそれぞれの役割を見てみると、現代のいろいろなものに当てはまるような気がして面白いですね。

 

あ、そうそう。

私が勤める会社の社長は裸です。