こんばんは、ひなせです。
最近、薬がどうとか騒がれています。
「薬の力に頼った作品は、ある種ドーピングのようなもの」
という意見をあちらこちらで見掛けました。
私は「作品に罪は無い」「関係者が連帯責任で罰せられるのはおかしい」という意見なのですが、それは今回とは別の話。
そういった話の中で、誰が話したのかは忘れましたが、
「薬がNGだと、音楽とか映画で、かなりの作品が公開できなくなる」
「薬の力を使ってもいい。むしろ、ドーピングを解禁したら面白い」
「オリンピックに対抗して、薬の力を使って人間がどこまで出来るかドーピングオリンピックをやれば面白い」
という冗談もありました。
へー面白いな、とその時に思ったのですが・・・・・・あれ、こんな話、昔どこかで聞いたか読んだかしたことがあるぞ。
思い違いかな? デジャビュ? あれ?
といった感じで、ずーっと喉の奥に小骨が引っかかったような気持ち悪さが残っていたのですが、やっと思い出しました。
ドーピングオリンピックのアイデアって、梶尾真治さんですよ。
・梶尾真治さんについて
日本のSF作家さんです。一般の人には「黄泉がえり」の原作者といった方が伝わるかもしれません。
草彅剛さん主演で映画化され、大ヒットしましたので、知っている方も多いと思います。
私としては、ユーモアあふれる中短編・ショートショートの作家さんというイメージですね。
以下で紹介する本も、一話あたりが数ページしか無い、ショートショートと呼ばれるジャンルの本です。
・「有機戦士バイオム」収録、「ドゥーピンピック2004」
これですよ探していたのは。
この本に収録された、「ドゥーピンピック2004」こそが、ドーピングありのオリンピックのお話です。
「薬物使用による、肉体の限界を超えさせる可能性に挑戦する」
「人類極限の大会」
と銘打たれた「ドゥーピンピック」についてのお話です。
「2004」というのが、何とも時代を感じさせます。
あらゆる薬物の使用が認められている大会で、注目はなんと言っても男子100m。
過去の大会の優勝者、ジョン・ベンソンさんが解説で呼ばれていますが、薬物乱用の後遺症で幻覚を見て暴れています。
はたして、どのような薬物を使用したものが金メダルを獲得するのか・・・・・・というお話です。
かなりイカれたストーリー(褒め言葉)ですね。
・ドーピングオリンピックは30年前の作品
奥付を見て驚きました。
初版が1989年ですよ。30年前です!
私がこの本を読んだのは、この本が発売されてからちょっと後だと思うので、おそらく中学生くらいですよ!
いやぁ、ドーピングオリンピックのアイデアって、本が出版される前に書かれていたということになりますから、30年以上前ということになりますね。プロの作家さんってやっぱりスゴイ。
ダメですよ、パクったりしちゃ。あと、面白いことを思いついたという体で、「薬の力を使って人間がどこまで記録を伸ばせるか、ドーピングオリンピックをやれば面白い」なんて、話をしてもダメですよ。
ドーピングありの大会の話は、いろいろ掘り下げたり、広げたり出来そうな話ですが、そこはショートショート。さっとスマートに落として話は終わっています。
・消費税も3%の時代! こっちもちょうど30年前だよ!
裏表紙も。
梶尾真治さん若い!
本の定価が360円、本体350円! 安い! ハヤカワ文庫!
えっ、今だと文庫って600~700円位しません? 高いのだと1000円もする物もありますよね。
本体が350ということは、消費税が3%の時代ですか。
調べてみたら消費税率3%が施行されたのが、1989年(平成元年)4月1日。
こっちもちょうど30年前だよ!
スゴイ偶然!
結論。
梶尾真治はスゴイ!