ひなせたん 寝る前に考えた

空想・夢想・妄想が主な成分

やっとザ・ラスト・オブ・アス2をクリアした。ネタバレ含む評価と感想。

こんばんは、ひなせです。

やっと「ザ・ラスト・オブ・アス2」をクリアしました。
今日はその感想についてです。

かなり長くなってしまいましたが、気持ちを整理する意味で書きました。


前作もプレイしている私の感想・評価としては、ハッキリ言って面白くありませんでした。
一作目の時のようには楽しめなかった。

シナリオに引込まれるより、むしろ冷めてしまいました。夢中になれず、ゲームを進めるのが面倒でした。


最後まで見届けないといけない、義務感のような気持ちでプレイしていました。

 

今作が「ザ・ラスト・オブ・アス」シリーズ初プレイの人は、まだ楽しめるのではないでしょうか。

 

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●前作「ザ・ラスト・オブ・アス」のあらすじ

ある日突然、謎の寄生菌によるパンデミックが発生。
主人公のジョエルは、娘のサラ、弟のトミーと共に避難するが、その途中でサラは命を落としてしまう。

そして20年後。
文明はもはや崩壊している。

ジョエルはブラックマーケットでの取引を生業とし、人を殺すことさえ何とも思わないほどに荒んでいた。
ある仕事のトラブルをきっかけに、ファイアフライという反乱軍のリーダー、マーリーンから、運び屋の仕事を頼まれる。嫌々ながらも、仕事を引き受けるジョエル。

その荷物とは、14歳の少女、エリー。謎の寄生菌に対する免疫を持つ、ただ一人の存在。世界を救う可能性を秘めている。
ジョエルは荒廃したアメリカを、エリーと二人で旅をする事となる。

行く手には「感染者」の他、生き残るためには手段を選ばない「人間」との戦いが待ち受けていた。
その一方で、いろいろな立場や境遇に置かれた人々と出会い、二人の気持ちは変化していく。

時に反発し、あるいは協力し、様々な苦難を乗り越えていく。

そしてついに、目的地まで二人はたどり着く。しかし、そこに待ち構えていた現実は、過酷なものだった。

ワクチンを生成するためには、エリーは死ななければならない。

ジョエルは反発し、ファイアフライの病院から意識を失ったエリーを運び出す。抵抗する医師や、命乞いするマーリーンを殺害して。

二人は、ジョエルの弟のトミーがいる、ジャクソンの村にたどり着く。
そこで二人の旅は終わる。

 

●そもそも、前作のザ・ラスト・オブ・アスは何が凄かったのか

・前作を語る上でのキーワードは、『感情移入』

主人公ジョエルは、始めはエリーを面倒な存在として扱っています。
しかし、命を助け合う旅を続ける内に、エリーに対して徐々に情が移っていく。
ゲームをするプレイヤーも、プレイを通じてジョエルとエリーに『感情移入』していきます。

最愛の娘を失い、人を愛することを忘れてしまった一人の男が、新たな光を見つける物語です。

最終的に、ジョエルにとってエリーは、自分の娘のような存在になります。
オープニングとラストの、「愛する者を抱えて逃げる」シーンが象徴的です。

登場人物の情が移っていく過程と、プレイヤーがキャラクターに『感情移入』する過程が見事にシンクロした作品。そのシナリオが多くの人に評価されました。

また、日本語吹き替えを行った声優さん達の素晴らしい仕事が、この作品に深みを与え、『感情移入』を支えたと言えます。

 

・ゲーム内容と世界観が合っていた

文明が崩壊し、人々は生きるのに必死です。
感染者から身を守るのに加え、生き残った人間との争いもあります。
食料を奪うため、あるいは食料にする為に、人の命を奪う世界。
やらなければ、こちらが殺される。
限られた物資・弾薬で攻略しなければならないサバイバル要素がゲームにも活きています。

 

・登場人物が魅力的だった

脇役達もこの世界で生きていました。
寄生菌に感染して死んでいく者達。
エリーの親友ライリー。
ジョエルの相棒テス。
ヘンリーとサムの黒人兄弟。
こういったキャラクターがいたからこそ、免疫を持つエリーという存在が際立っていました。
命の不公平を象徴していたわけです。

そんなエリーも、
「大切な人は、みんなどこかに行くか、死んでしまっていなくなった。ジョエル以外は」
と、自身の身の上の孤独と、免疫がある故の孤独を語っています。
自分が誰からも理解してもらえない中で、ジョエルが唯一の理解者と言える存在になります。
後述しますが、だからこそ、ラストシーンの意味が重くなってきます。

ラストシーンで「生きるためにずっと戦ってきた」と話すジョエル。
「戦う目的を見つけなきゃだめなんだ」とそこで言います。
よく見ると、サラからプレゼントされた腕時計を触って言っています。
つまり、そうしないと自分が生きられなかったと告白していると同時に、父親として伝えようとしているのが分かる場面です。

 

●2のシナリオは1作目のファンほど拒否反応がでる

これ以降、ネタバレを含みますので、未プレイの方は注意して下さい。

 

 

・ジョエルが報いを受けて死ぬ可能性は、皆が感じていた

一作目をプレイした人は、ジョエルに感情移入しています。
ただ、幸せな死に方は出来ないだろうと、皆がうすうす感じていたでしょう。

ジョエルは「生きるために戦う」考え方です。この生き方は敵を作ります。
実際、ゲームの中でも多くの人を殺すわけです。
一作目でも、ハンターの村で、仲間の復讐を望むキャラクターとしてデビッドが表れています。

また、ジョエルの密売仲間のビルが言っています。
「大切なモノをもっているヤツから死んでいく」

エリーという大切な存在が出来たジョエルは、命を落とす運命にあるでしょう。


・始まってすぐに、ジョエルが殺されてしまう

物語の開始早々、ジョエルが酷い殺され方をします。

このタイミングで?
アビーとかいう、よく分からないキャラに?
こんな殺され方?

正直言って、一作目でジョエルに感情移入していた人は納得出来ません。
1作目のファンであればあるほど、拒否反応がでると思います。エリーに強烈なモチベーションを与える為とは分かるけど、でも、いきなり?

ジョエルを操作してゲームをプレイしたいと思っていたプレイヤーも多くいたでしょうから、いきなりそれを裏切る形になるわけです。

「なんでこんな序盤にジョエルを死なせるんだ」と、ゲームのシナリオに文句を言いたくなって、ゲームの物語に集中できません。

でも、この点はまだ許せる話だとは思います。

 

・ジョエルを殺したアビーを操作しなければならない

大きな問題点です。

物語の中盤から後半にかけて、アビーを操作しなければなりません。

前半は、アビーに復讐する為にエリーを操作していたのに、復讐の対象になるアビーを操作しなければいけない、になるわけです。

しかも結構長い。
「シアトル1日目」と表示されたときには、
え? 3日分もプレイするの? と思いました。
とにかく、物語を進めるために操作しないといけない

1作目をプレイし、ジョエルやエリーに感情移入していた人にとって、ゲームとしての爽快感は全くありません。

「アビーを操作させて、感情移入させたい」狙いなら、あまりに単純な発想です。
まさかとは思いますが、アビーに感情移入させれば、死んで欲しくないと自然に思うようになるだろう、そんな狙い?


ネットで見掛けた鋭い意見。

「傍観者でいられる映画とは違って、ゲームは当事者でもあるんだ」

その通りだと思います。


感情移入できないキャラクターの操作は、ゲームとして単純に面白くありません。

前作が未プレイで、今作からザ・ラスト・オブ・アスの世界に触れる人は、まだフラットな気持ちで操作が出来るでしょう。
『あ、操作キャラが変わるのね』くらいの感じでしょうか。
それでもどうなんだとは思いますが。

考えられる狙いとしては、『アビー側の立場も体験することで、復讐の愚かさを感じてもらいたい』『お互いの立場を客観視してもらいたい』そんな所でしょうか。

ただ、オーウェンには妊娠したメルがいるのに・・・・・・とか、アビーは共感しにくいキャラクターでしょう。

また、アビーはエリーを許した訳でも、復讐の連鎖を断ち切った訳でも無くて、レブに止められたからディーナやエリーを殺さなかった、というだけに感じます。


・前作をプレイ済みで、アビーに感情移入できたという意見は、本当に気持ち悪い

アビーを操作して、最後にエリーを攻撃しなければならない場面があります。
「そんなことはしたくない」
と思いました。
嫌々操作を続けますが、この戦闘はイベントで、ディーナが音に気付いてやってきて、いきなりアビーを撃ち殺すのかな? なんて考えながらアビーを操作してしました。

これは明らかに、アビーには感情移入できていない証拠です。
1作目をプレイしたほとんどの人が、そうだっのではないでしょうか?

逆に言えば、「アビーに感情移入できた」人は、エリーに対して容赦なく攻撃できたのでしょうか?
ジョエルは父親の仇だから殺されて当然、エリーは仲間の仇だって、思えますか?
前作をプレイして無くて、今作からプレイしたなら、まだ分かります。
あと、「これはゲームだから」と割り切って、感情移入しない人。

前作をプレイしていて、平気でエリーを攻撃できる人。
私はそんな人は恐ろしいです。

 

・復讐せずに終わる

家族が殺された場合、復讐なんてやめよう、と割り切れないのが人間です。
ゲームの後半に、復讐の念に縛られてしまったキャラとして、ジョエルの弟のトミーが出てきます。
トミーはケガを負い、自身の力では復讐を成し遂げることが出来ません。
だからこそ、エリーに対して復讐を煽るような言動をしてきます。

そこから再びエリーは旅立つのですが、復讐は完遂せずに、物語は終わります。

復讐の物語で、復讐せずに終わる。・・・・・・スッキリしません。

 

シナリオ上、かなり難しい部分になるのですが、ザ・ラスト・オブ・アス2は復讐の物語と平行して、エリーとジョエルの確執も描かれます。1作目の最後、病院でのジョエルの行動についてです。

アビー側のストーリーや事情などは、エリーは知る由もありませんので、エリーが復讐をしなかった理由は、エリー側のみにあるはずです。
そうである以上、「相手を理解したから復讐しなかった」そんな物語ではありません。

当然、2のラストシーン、エリーがジョエルに言った、
「多分・・・・・・一生そのことは許せないと思う。・・・・・・でも許したいとは思ってる」
このシーンを思い出した為に、ジョエルを許す=アビーも許したい、に繋がったのでしょう。
子どもを守ろうとしているアビーにかつてのジョエルを重ねたのもあるでしょう。

でもこれだと、アビーを操作したのは何の意味があったの? となります。


・一作目をやっていると気になる点


ファイアフライについて、エリーもアビーも幻想を持ちすぎだと感じます。
プレイヤー側が、ジョエルの視点を捨てきれないのもあると思います。

ジョエル視点だと、1作目の時点で、
・ファイアフライはテロ行為や人殺しも平気で行う
・軍との戦闘で、組織はボロボロになっていた
・マーリーンは組織内での立場が悪化したのでエリーを利用したがっている
・マーリーンは信用できない
・そもそも本当にワクチンを作れるのか
・エリーを命がけで連れてきたのに扱いがひどい
・こんな状態の組織にエリーを任せて良いのか不安
これらの点が、ゲームをプレイしていると分かります。

 

これらは、ジョエルの決断の罪悪感を薄めるためのものだったのかも知れないのですが、2のシナリオに余計なノイズになってしまいます。

今作でエリーが病院でのジョエルの決断に触れる部分や、アビーが父親を思い出すシーンでも、
「ワクチン生成は可能性の話で、どうなっていたかは未知数」
「ファイアフライって碌な組織じゃない」
そんな考えが頭をよぎります。

エリーやアビーは子どもだったので、幻想を持ち続けてしまっているのは理解出来ますが、そういった点をシナリオの力で納得させられなかったのは失敗だと思います。

 

 

●ゲームの視点とファンの存在を忘れてないか

・ファンの気持ちを軽視してない?

1作目が大ヒットし、多くのファンを獲得しました。

今作のミスは、ファンの感情移入を理解しそこねた点です。ファン心理が分かっていなかったんですね。

評論家はこの作品に高い点数をつけてくれるかもしれませんが、ファンは「許せない」と感じてしまった。頭にきたんです。

 

・「許せない人を許す」とか、感情移入していない部外者が語れるのは当たり前

復讐のストーリーを描くなら、人の感情を無視できません。
「愛する人を殺されたって平気」なんていう人に、復讐する意識は生まれませんから。

 「許せない人を許す」のが今作のテーマなんでしょうが、
1作目がプレイヤーとキャラの気持ちがリンクしていたのに対し、2作目は噛み合わずに話が進みすぎている気がします。
プレイヤーが置いてきぼりなんですよ。

 

・エリーがラスボスって、狙いがダサイ

アビーを操作していると、倒すべき対象がエリーになるわけなんですが、
「エリーがラスボスって面白いでしょう」と言っているようで、すごくダサイ。

 
・シナリオの場面変換が下手

キャラクターが殴られて気を失う→場面が変わるのが多すぎ。

場面変換が下手と感じます。

何回、気絶させられるんだ。


・一人で旅するのは無謀

 一作目で、この世界での旅はあまりにも過酷と描いているのに、物語の終盤、エリーだけで長い距離を旅します。

いや、生き残るのも大変でしょう。

それとも、ほとんどの人や感染者は死んでしまっているのでしょうか?


・ゲームのシステムとストーリーがリンクしていない

ゲームプレイ上でも、ストーリー的にも、人を殺める数が多い。人を殺しまくっている印象になります。
多彩なプレイ=多彩な殺人方法にもなるわけで、人を殺さない方がむしろ難しいくらい。そんなゲームで、特定の人物の命だけ重いなんて話は通じません。

それが復讐の相手なら尚更です。


・ゲームの成長要素を忘れてる

ゲームの中だと、アビーを操作する=アビーを強くする、です。

復讐相手のアビーに強くなってもらいたいなんて、プレイヤーが思うでしょうか? 感情移入もできていないのに、キャラを成長させる?

ゲームとしての、基本的な視点を忘れています。


・周辺のキャラの命が軽い

アビーだけ殺さないのは、本当に不自然です。

それ以外のキャラクターはほとんど殺しています。

一作目のモブキャラである医者にも家族がいて復讐にやってきた、と描いているのに、やっていることは殺して復讐の種を蒔くことでは、あまりに不自然です。

 
・プレイヤーは現実世界の視点も持っている

ファンは、現実世界の情報も見聞きしています。
シナリオ上、アビーにヘイト感情が向けられるのは当然だけど、ゲーム外のメタ情報まで含めて、制作者にヘイトが向けられる事態になりました。
ゲーム本編以外の所で、不誠実な対応があったのが問題です。

発売前に発表されたPVでは、エリーとジョエルが一緒に旅するように勘違いするような作りになっていました。
脚本について、強引な変更や忖度があったとの噂もあり、ストーリーのリークがあったり、制作会社内のイザコザまで聞こえてきました。
社長の退職、長時間労働「クランチ」による人材流出、ポリコレ問題など、ファンが不安になる情報ばかり。
現実社会の問題が、シナリオの失敗の理由と思われても仕方が無い状況を作り出してしまいました。


・商売としてどうなの?

人気キャラを死なせるって、どうなんでしょうか。

おなじプレイステーションのゲームとして比べて、
「Horizon Zero Dawn」の続編でアーロイを死なせる?
「Days Gone」の続編でディーコン・セントジョンを死なせる?

ありえないでしょう。

 

会社のマーケティングはどうなっていたんでしょう?

制作に数年をかけた大作ソフトなのに、ファンを逃すようなシナリオにして、意味があるんでしょうか?

無難なシナリオでは、ファンの期待に応えられないのは分かりますが、キャラクター人気を計算しないのは、会社としてどうなんでしょうか。

ゲームを評価をする際、人に勧められるかって重要です。口コミで売れるソフトだってありますから。問題は、一作目をプレイした人に、このゲームをオススメ出来ますか? という点です。

 

多くのファンが望んだ続編を作れなかったのは失敗です。
あらゆる創作の基本、「作者が作りたい物語ではなく、ファンが求めているものを作る」

その視点を忘れていたのでしょう。


●前作のラストシーンの意味が変わった

ここで、前作のラストシーンを振り返ってみます。

病院から逃げ出したジョエルは、意識を取り戻したエリーに言います。

ジョエル「免疫を持つヤツが何十人もいた、お前がいなくても平気だ」「やつらは治療法の開発をやめた」

そしてラストシーン。

エリーの傷は感染が進行しているように見えます。
ジャクソンの村に着く手前で、エリーはジョエルに言います。

 

エリー  「ボストンで、噛まれた時だけどひとりじゃなかったの。あたしの親友もいて一緒に噛まれた。途方に暮れてたら、その子が・・・・・・言ったんだ。『待ってればいいじゃない。どうせ最後はみんなおかしくなっちゃうんだから』って。あたしはまだ待ってるの」
ジョエル「エリー」
エリー  「ライリーって子だった。あの子がまず死んで、それからテス。それにサム・・・・・・」
ジョエル「どれもお前のせいじゃない」
エリー 「そういうことじゃないの」
ジョエル「俺はな、生きるためにずっと戦ってきた。お前も何があっても戦う目的を見つけなきゃダメなんだ。こんなこと聞きたくないってのは分かってる。だが・・・・・・」

 エリー 「誓ってよ。ファイアフライについてさっき言ってたことは、全部本当だって誓って」
ジョエル「誓うよ」
エリー 「わかった」

 

このラストシーン。エリーはジョエルの嘘を見抜いていたというのが、多くの人の印象でした。
ウソを見抜いていた。分かった上で、嘘に乗っかった。自分の為にしてくれたことを理解していた。

ジョエルの心情を理解し、ジョエルが世界もエリーの思いも裏切ったことを「分かった」と言ったセリフのはずでした。
当時、開発者もそのようにコメントを残しています。

 

ただ、唯一の理解者と思っていたジョエルが嘘をついた。
エリーにとってジョエルは信用できない存在になってしまった。
だから二人の関係性はここで終わる。


タイトルの「ザ・ラスト・オブ・アス」は、
・感染に対するワクチン開発という希望が閉ざされて、滅び行く人類。
・ジョエルとエリーの関係性の終わり。

その二つを表しています。

 

・・・・・・そんな認識でした。


その解釈が、2ではちょっと違っています。

「わかった」の台詞は、実は分かっていなかったようです。

 

エリーはその当時はジョエルが言ったことを本当だと思っていた。
でもずっと気になっていて、実際に確かめに行ってみたら、違っていた。

 

今作のエリーは、

ライリーとともに死ぬはずだった自分が生き残ったのは、免疫を提供して人類を救うためだった。その可能性を奪ったジョエルが許せない。
自分の気持ちを踏みにじり、嘘をついたジョエルを許せない。
死ぬ機会を奪われ、生き残った罪悪感をもっている。自分の命を無価値と感じる。

・・・・・・そんなキャラクターになっています。

 

前作をプレイした者からすると、最後の「分かった」は実は何も分かっていなかった、となるので、「ザ・ラスト・オブ・アス」一作目で感じた「ジョエルとエリーの関係性の終わり」は、今作のパート2に持ち越された形になります。

前作をやった人からすると、1作目のエンディングの時点で分かっていると思っていた内容を、2作目でなんとか理解しようとするエリー、となるわけです。

 

・・・・・・なんじゃそりゃ。

 

一作目で、相手にも事情があるとか復讐だとか人類の生存だとか、いろいろと理解した上で、それでも自分のエゴとも呼べる愛情を貫き通し、その業を背負う覚悟をしたジョエルを描いたのに、二作目のエリーは自分の存在意義にも復讐についても悩み、目的も達成できずに仲間や家族を失い、指も失ってジョエルの形見のギターも弾けなくなり、気持ちの上ではジョエルとの決別を果たす。そんなストーリーになっています。

 

それなら、1作目でうまく完結していたので、2なんて作るべきでは無かった、となります。


●「ファンが望む作品を作ろう」と考えなかったのは分かる

今作の狙いはなんだったのでしょうか。あえて、ちょっと深読みしてみます。

 

1作目が「感情移入」のゲームでした。

では2作目は、あえて感情移入しにくい、「相手の気持ちなんて分からない」「感情移入できない」ゲームにしたかったのではないか。

 

「アビーを操作する事で、1作目と同じように感情移入して」なんて発想は、あまりにナンセンス。
1作目をプレイしていたら、そんな簡単に気持ちを切り替える事なんてできません。
「感情移入できない相手とどう向き合うか」
が試されていたのかと考えます。

 

お互いを理解出来ないからこそジョエルとエリーのすれ違いも生まれる。
エリーとアビーのように、敵対している存在ならなおさら。

 

「許す」=「相手を理解する」

「許そうとは思っている」=「理解しようとは思っている」

 

つまり、あえて「アビーを理解しようとは思っている」位の状態にするのが狙い。


ほとんどのプレーヤーが、アビーに対して「感情移入」までいかなくても、「まあ、事情はいろいろあったんでしょうね」くらいは思えたでしょう。

 

「お互いを理解し合えば復讐を止められる」
ではなくて、
「理解出来なくても、復讐を止めなければならない」
にしたかったんだと思いますが、どうでしょう。

 


・復讐の物語が対立を生む皮肉

賛否両論のあるストーリーと言えば聞こえはいいですが、作品の評価を巡って対立が起こっているのは問題です。

復讐を否定するはずの作品が、プレーヤーの対立を生む。なんという皮肉でしょう。

 

また、この作品を評価する人達に限って、「この良さが分からない人は愚か」「浅はか」「子供じみた考え」といった対立を煽るコメントをしています。

この時点で、「復讐」についての物語を理解出来ていないのは明らかです。分かった気になっている人なんでしょう。

 

「世界各国のメディアが大絶賛したからスゴイ」なんて権威主義に乗っかる必要も無くて、自分の思うままに評価すればいい。実際に、メディアとプレイした人達の評価は乖離しているようです。

 

●The Last of Us Part 2の良かったところ

グラフィックや戦闘など、ゲームのシステム面はとても良い出来でした。

ただ、一作目である程度完成されていたシステムですので、同じ事を繰り返している感覚はありました。

 

ジョエルとエリーが一緒に行動する場面について文句を言う人はおそらくいないでしょう。博物館のシーンは2で最も好きな場面。ホテルを抜けていく所も良い。やっぱりジョエルは頼もしい。

ジョエルとエリーのラストシーンも素晴らしいです。ジョエルの、台詞にもグッときました。

「もしも神様がもう一度チャンスをくれたとしても、きっと同じことをする」

 

アビーとレブの関係性も良い。
レブの存在が、1作目のジョエルとエリーを連想させます。対立した組織のリーダーが結果的に死ぬのも同じです。

そう考えると、アビーも復讐の連鎖を生み出してしまったと考えられるので、将来はジョエルと同じ運命をたどる、とも読み取れます。

 
アビーが、WLFとセラファイトとの戦いに、第三者として巻き込まれる場面も好きです。

組織で戦ってる=憎しみの対象が組織となり、復讐の連鎖が止まらないといった点を表しているでしょうし、もっと単純に戦争の悲惨さ・残酷さを表しているでしょう。

まあ、正直言うと「殺し合って人数が減れば、攻略が楽になる」とか考えちゃいましたが。

 

犬の扱いもドキッとしますね。

エリー側の視点でプレーすると、ニオイを追跡してくる「厄介な敵」扱いです。しかしながら、アビー側だと「頼もしい仲間」なんですよね。

「感情移入」の点から考えても、この作品らしい存在です。

 

ディーナの子供を抱いて農機に乗り、夕焼けを眺めるシーンは最高。このままエンディングでも良いと思える場面。

やっぱり子どもは希望を象徴する存在だし、親の視点や立場をエリーに持たせる意味でも価値がある。

 

エリーが指を無くし、家に帰ってきてジョエルの形見のギターが弾けないのは、失ったものを象徴するようで印象的。ただ、復讐を果たしたけど、もうギターは弾けなくなった、の方が形としてはスッキリする。

 

改めて、良いと思える部分を羅列してみましたが、この良い部分はすべて「王道」なんですよね。

 

●ファンが望んでいたストーリーは、やっぱり王道

ではでは 、どんなストーリーだったらファンは納得したのか、考えてみたいと思います。


・エリーの免疫保持者設定はどうなったのか

今作は、寄生菌と免疫という設定があまり活かされていません。

作中では、ワクチン作成の手術をできる人がもう居ないから、作ろうと思ってもどうしようもない、となっていました。

しかしながら、アビーの父親がワクチンの開発をしようとしていた人物なのは分かりますが、文明が滅びたとはいえ、そういった人がアメリカで一人しか居ないなんて状況は考えにくいです。

また、エリーは自身の免疫についてずっと悩んでいたようですが、それなら「まだワクチンを開発できる人が居るかも知れないと考えて旅立つ」のが自然な気がします。

アメリカに居なくても、カナダとかメキシコとか、どこかに居ないのか。

ただ、旅の目的が「ワクチンの開発」となった場合、エリーの命と引き替えにはなってしまいます。エリーが自分の意思で決めたことなら、ジョエルは反対しないでしょう。

この場合、旅の目的こそ1作目と同じですが、待ち受けるのはエリーの死ですので、まさに正反対の結末となります。


・もっと旅をしたかった

一作目は、ジョエルとエリーが一年の時間をかけて、アメリカを横断しています。季節の変化があり、旅の雰囲気も味わえました。

今作は、ほとんどの舞台がシアトルですので、旅をしている雰囲気はあまり感じられませんでした。悪天候のシーンも長かったです。

また、一作目のように、いろいろな立場の人を描いて欲しかった。人との新たな出会いが少なく、すでに仲間になっている人との行動が多かったです。


・復讐劇の途中とか最後でジョエルが命を落とすほうが王道

インパクトを狙ったのでしょうが、ジョエルの退場があまりにも早すぎました。

復讐というメインストーリーと、ジョエルの死は変えないとして、ネットで発売前に噂されていたストーリーが、なんとなく求められていたものなのではと思います。

 

ある日、ジャクソンの町が襲撃される。恋人ディーナが命を落とし、周囲の人間が止めるのも聞かず、エリーは復讐の旅に出る。

「一人で行かせるわけにはいかない」ジョエルはエリーと合流する。

復讐の旅の途中、ジョエルが命を落とす。

大切な人を二人も亡くし、復讐の旅を続けるべきか迷うエリー。

それでもエリーは復讐を完遂するが、復讐の相手には幼い赤ん坊がいた。

ジャクソンに戻り、その子を自分の子として育てる決心をする。

といった流れではどうでしょう。

 

とにかく、ジョエルの死は、怒りより、悲しみを感じたかった。


・復讐をテーマにするなら、うまく隠せ

もしくは、アビーを出すとしても、最初はどういった人物なのか分からないキャラクターとして出した方が、良かったのではと思います。

兵士では無く、文明が崩壊した世界でも医療活動を行っている女性。密かに父親のワクチン開発の研究を受け継ぎ、感染症の研究もしている。

ジョエルやエリーと意気投合し、仲良くなったところで、エリーが免疫保持者だとバレる。ジョエルの名前は知らなかったが、自分の父親は免疫保持者を連れてきた運び屋に殺されたのは知っていた。

ジョエルが親の仇。アビーは悩んだ末にジョエルを殺害する。

エリーはアビーへの復讐をためらう。憎むのでは無く、アビーのワクチン開発に協力するのが罪滅ぼしになるのではないか・・・・・・みたいな。

 

・・・・・・。
どうしても、王道で、平凡なストーリーになってしまいますね。

 

 

●ゴーストオブツシマやろう

そんなわけで、気持ちの整理もつけたくて、この文章を書きました。

ザ・ラスト・オブ・アスは終わりました。
今後、続編が出てもプレイする事は無いでしょう。

気持ちを切り替えて、ゴーストオブツシマをやろうと思います。

日本の対馬が舞台で、元寇のお話です。

こちらのゲームは感情移入できるといいな。

 

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